*DA企画初参戦!ムラノと申します、どうぞよろしく。5Ds遊星と女夢キャラのデート話です。ちょぴり切なめ。









触れる指先、重なる掌――





華吹雪を散らす飛行船と色鮮やかなバルーンが雲一つない晴れやかな上空を彩り、ソリッドビジョン映像である3体の青眼が大空を駆け巡る異世界を彷彿とさせる光景を前に

少し瞳を見開いて伝説の白き龍の姿を魅入る青年が一人。

心を浮き立たせる様な軽快な音楽と共に場内アナウンスが響く中央入り口のど真ん中で立ち竦む遊星が傍目からは無表情だが、彼なりに呆気にとられているらしく

らしからぬ半開きの口がそれを物語っていた。きゃあきゃあとはしゃぐ子供達の声が遊星の真横を通り過ぎてゆき、機械とデュエル以外ではとことん不器用な彼が

自分の頬を掻き気まずい表情のまま、自分の隣でニコニコと微笑んでいるを見遣れば、彼女の手元にある海馬ランドの招待チケットが2枚。

童実野シティでも指折りの遊園施設である此処、海馬ランドの入り口で待ち構えていたが金糸雀色の髪を揺らしながら、意気揚々とした口調で佇む遊星の背中をぐいぐいと押す


「ま、…これは一体、どういう事なんだ?」

「何って、海馬ランドのチケット貰ったから一緒に遊びに来たんじゃない」

「しかしWRGPが迫っている中、今のオレ達に遊ぶ余裕など…」

「偶の息抜きも必要だ、ってクロウが言ってたよ。遊星は何事にも根を詰めるばかりで、ちっとも休んでくれないって」

「正直に言えば、遊園地という施設に来たのが初めてなんだ。・・オレはどうすればいい?」


姿勢を変えて背中を押すと向き合い、やや息を詰めた遊星が緊張を含んだ真顔で語るものだから初めての遊園地で動揺を隠し切れていない彼の挙動不審ぶりが面白くて、

苦笑交じりのが大丈夫!と以前よりも表情豊かになった自身の笑顔でそう伝えれば困った風に眉間を寄せ唇を真一文字に閉ざす遊星。

彼の無口ぶりは相変わらずだが無口だけれど優しい遊星が大好きだった――流石に、本人を目の前にして告げる事ではないけれど。


「そんな難しく考えないで。遊園地では思い切り遊んで、楽しめばいいの。ね、折角だし一緒に入ろう」

「――がそこまで熱望するなら、オレは構わない」

「ありがとう遊星。じゃ、さっそく入場しよう」


入り口ゲートで入場客を案内するBMG(のコスプレをした従業員)へとチケットを手渡し、入場した2人が入り口ゲート直ぐの中央広場でキョロキョロと辺りを見回していると

突如目の前に現れたのは海馬ランドでも1,2を争う人気者でテレビアニメでもお馴染みの『正義の味方カイバーマン』が彼等を出迎えてくれた。

子供達のヒーローに相応しい眩しい笑顔とキラリと光る白い歯がやけに眩しくて、これはソリッドビジョンなのかな?と興味津々のがカイバーマンに近づくと

鼻先にビシリと指を突きつけられ、きょとんと目を丸くするよく通る大きな声が遊星をに向かって意気揚々と頼んでもいない海馬ランドアミューズメントの説明をしてくれた。



『良い子の諸君、海馬ランドへようこそ!この私、正義の味方カイバーマンが海馬ランドの見所を教えてやろう!』

「は、はぁ・・・」

『まずはなんと言っても青眼サンシャインクロニクル!KC最先端技術を駆使した強烈なジェットコースターDA!12歳以下の子供は遊べないから注意しろ』

「遊園地なのに、子供が遊べないとはどういう事なんだ」

「確かに(笑)まあ、大人も楽しめるって事なんじゃないかな」



カイバーマンによる突っ込み所満載な案内を半ば強制的に聞かされ続けている遊星とがカイバーマンが指差す方向にある特徴的な形…基、青眼型のジェットコースターを眺め

阿鼻叫喚にも近い客達の悲鳴が耳に届き、嫌な予感を募らせる遊星に対して興味を魅かれているらしいがキラキラとした瞳でジェットコースターを見入っていた。

興味を魅かれるのは別段構わないが、傍目から見ても胃がひっくり返ってしまうのではと思う程、重力を無視した回転を繰り返す危険極まりない遊具など勘弁願いたい。

出来れば、もっと安全性の高いアトラクションがいい…無意識の内にカイバーマンを睨み上げ意味深な視線を送れば、空気を読んだらしいヒーローが親指を立てて

もう一つのお勧めスポットを教えてくれた。



『そして海馬ランド一押しのソリッドビジョン空中庭園!大観覧車沿いの道を進めば辿り着ける。運が良ければレアカードが見つかるかもしれんぞ』

「わあ、空中庭園だって!行ってみたいかも!」

「(・・危険な遊具より、こちらの方が安全だな)空中庭園に行ってみるか」

「サンシャインの方が距離的に近いよ!折角の遊園地だもの、先にジェットコースター乗ろう♪」

「・・・・・・・」



どう足掻いてもジェットコースター行きを逃れられそうもない遊星が若干青褪めた表情でふるふると顔を横に振るも時すでに遅し。

やや強引に腕を引かれ導かれるままに同乗してしまった青眼サンシャイン――競り上がる緊張感はやがて吐き気を伴って遊星の内臓と神経をも麻痺させ、

何度も何度も急回転と逆回転を繰り返す青眼が織成す恐怖に蝕まれ、彼の意識は混沌のどん底へと突き落とされてしまった。



ジェットコースターから降り立ったが顔面蒼白のまま足元の覚束無い遊星の身を案じ彼の肩を支えようとするが、病み上がりの如く力無い声で大丈夫だ、と必死の思いで一言だけ告げる

いきなり絶叫マシーンは無茶だったかな、と気落ちするが近くの自販機でミネラルウォーターを買いベンチで休む遊星へと謝罪の言葉と共にそれを手渡す。

俯く少女の悲しげな表情は遊星の胸を切なく締め付けて堪らない気持ちにさせてしまい、ミネラルウォーターを受け取った遊星がその流れのまま彼女の右手を水毎掴み、感謝を述べた



「すまない、こういうマシンは初めてで些か動揺していた」

「ううん。私こそ遊星に無理させてしまって・・・ごめんなさい」

「気にするな。遊園地とは皆が楽しむ場所なんだろう?なら、オレ達も楽しめばいい」

「うん。けど無理しないでね。もう少し休んでから、次のアトラクションに行こう」



緊張で乾いた遊星の喉をミネラルウォーターが潤し、口元に残る滴を袖口で拭う遊星がチラリと隣の彼女へと視線を向ければ手元の缶ジュースの蓋も開けず

ウエスタンブーツの踵を地面に当てながらぼんやりと空を眺めているの姿。自分の不甲斐なさに呆れ果てているのかもしれないという不穏が遊星の胸中に雪崩れ込み

彼女の笑顔をこれ以上曇らせる訳にはいかないと奮起した遊星がミネラルウォーターを一気に煽り飲み干すと、の手元のジュースをベンチに置き

空いた手をぎゅっと握ったままの腕を引いて遊星が歩き始める――

唐突な出来事に首を傾げているの目線は繋がれた手元へと辿り着き、頬を紅潮させ足を止めようとするのだけれど、遊星がそれを許さなかった。



「ゆ、遊星・・・/////」

「空中庭園が見たいと言っていただろう。休憩は終わりだ、一緒に行こう」

「う、うん。(手、繋いでる・・・嬉しいけど、少し照れるよ/////)」



革手袋越しから伝わる温度、直ぐ近くにある遊星の凛々しい横顔を見ただけでの鼓動がドキドキと跳ね上がる

絶叫マシーンでも平常心を保っていた自身とはまるで違う胸の高ぶりを感じながら、の頬が薄紅色に染め上がり初々しい高揚感に揺らめく2人が空中庭園へと入ってゆく

硝子扉の向こう、青のコントラストが映える色彩は群青の海と化し、生い茂る濃い緑の木々と世界中の花々を咲かせる庭園は一歩足を踏み入れただけで

人々の心を甘く酔わせ優しく包み込まれる様な錯覚に陥ってしまう。

花々の周りで艶やかな色を放つ名も知らぬ蝶々達――金糸雀色の髪を掠めてゆく一匹の蝶が彼女の肩に止り、羽を数回瞬かせた後静かに空へと

飛び立っていく幻影的な光景の中、2人の緊張が静かに解き解されてゆくのが分かった。



「綺麗・・・」

「ああ・・・言葉など不必要な程、美しい光景だ」

「今は言葉も何も要らない――遊星が隣に居てくれれば、私は満たされるよ」

・・・・」



ヒラヒラと舞い降りる蝶々が描く螺旋を魅入る少女の唇からぽつりと呟かれた微かな声は、切なさと情の詰まった自身から紡がれる小さな本音。

記憶を失い、孤独という暗闇で?き右も左も分からぬ手探りの状態で闘ってきた小柄の少女は、弱音も愚痴も決して口に出さない細い体躯に見合わぬ強さを持ち合わせている。

滅多な事では人に弱味を見せぬ彼女の言葉は溶けた蜜蝋の様に遊星の胸に巣食って離れない。繋がれた手をそっと解き放つ遊星の動作に逆らわぬまま、もそっと手を離す

繋がれた手を失い、欠いた温度が少しだけ悲しい―――無口な遊星からはやはり言葉は無く、瞳を伏せる少女の髪を指先で梳き、の身体をぎゅっと強く抱き締めた。



全身に降り積もる穏やかで温かな熱に包まれる少女が伏せた顔を上げれば、優しく微笑する遊星がの視界を埋め尽くし彼の胸板に頬を寄せてより密着すれば

少女の項を支える遊星の手が金糸雀色の髪をそっと撫でてくれる。言葉がなくとも心を通わせる瞬間はとても愛しく、そして焦がれてしまう。

瞳から零れ落ちる一滴の雨垂れがの頬を濡らし、蝶が舞う庭園の中2人は暫しの抱擁を交わすのだった―――







◆初めまして、ムラノと申します。少し切なめ風味の遊星夢キャラ話を書かせていただきました☆
素敵なDA企画にお誘いいただき感謝!微力ながら盛り上げていけたらいいなと思っております。

**ムラノ**